日本陶磁協会賞受賞作家展
2010年2月4日(木) ~ 2月20日(土) 2月7日(日)、11日(木)、14日(日)休業 10:30~18:00(最終日は17:00まで)主催:社団法人 日本陶磁協会


現代を代表する陶芸作家の華やかな競演
白い紙垂(かみしで)と榊で清められた登り窯から、黒煙が上る。赤松の薪をくべる度に、凄まじい炎が噴き出す。熱の塊と化した窯が激しい呼吸をともない、焼き物を生み出さんとする荘厳さと胎動がそこにあった。日本藝術院会員・今井政之氏の「豊山窯」で、窯焼きを拝した時の光景である。
今年、傘寿を迎えた今井氏は、大胆かつ精緻な象嵌の作品で、陶芸界を牽引してきた稀代の作家。日展常務理事などを兼務するほか、長年の功績から五度の紺綬褒章、旭日中綬章を受章している。絵が好きだったことから作陶の道に進み、備前焼の修業、工業試験場勤務を経て、「備前の土での新しい創作陶器をめざし」、京都の楠部彌弌(くすべやいち)氏に師事、芸術としての陶芸に触れて、独創的な象嵌陶器を次々と発表してきた。
「ひとつのフォルムの中に性質の違う土を使うには、どのような手法があるかを考えたら象嵌だったんです」。ボディにモチーフを削り、収縮度の異なる土を埋め込み、滑らかに表現するには高度な技術を要する。氏はさらに火焔や灰が偶然にもたらす窯変を意図的にほどこした「窯変象嵌彩」や、長石釉の下に文様を浮かび上がらせる「象嵌志野」といった前人未到の技法をも創案した。
現在は、風光明媚な瀬戸内海を見渡す広島と京都の陶房を往来して作陶に励む日々。モチーフの多くは、海で自ら釣り上げた魚、庭や裏山で見つけた虫や草花たちだ。
「私の作品は、自然と一体にならないといけない。モチーフをデザイン的に扱うのではなく、生きている状態をそのままに、自分の思いを込めて象嵌で表現し、自然の窯の炎で焼き上げるのです」。
古代土器を連想させる豊かな造形に、繊細な技巧で表された生命が躍動感をもって息づく。土味を生かした氏の作品は、確然たる表現力をもって、太古ののびやかな自然と人間の営みを彷彿させる大様(おおよう)な趣を宿している。
今井政之氏をはじめとして、日本陶磁協会賞受賞作家の作品が一堂に会する本展覧会も今回で第51回となる。メイン作品の他に“おもてなしの器”をテーマとする作品など、伝統から現代陶芸まで、境界を越えた歴代受賞作家44名の力作100余点に期待したい。
出品者(50音順・敬称略)
| 秋山 陽 | 市野雅彦 | 伊藤赤水 | 今井政之 | 江口勝美 |
| 大樋長左衛門 | 小川待子 | 小野寺 玄 | 隠崎隆一 | 加藤清之 |
| 加藤孝造 | 加藤重髙 | 金重晃介 | 金重有邦 | 川瀬 忍 |
| 清水六兵衛 | 鯉江良二 | 小池頌子 | 髙鶴 元 | 酒井田柿右衛門 |
| 篠田義一 | 鈴木 藏 | 鈴木五郎 | 鈴木三成 | 滝口和男 |
| 武腰 潤 | 竹中 浩 | 田嶋悦子 | 玉置保夫 | *徳田八十吉 |
| 中里 隆 | 中島 宏 | 林 邦佳 | 原 清 | 原田拾六 |
| 藤平 伸 | 前田昭博 | 三原 研 | 三輪和彦 | 森 陶岳 |
| 八木 明 | 柳原睦夫 | 吉田美統 | 樂吉左衞門 | |
| *物故作家 |