ひなの面差しにすこやかな成長を願う
女児の幸福を願う細やかな愛情と、春を迎える喜び。両方の幸に彩られるひな祭りは、日本人の心に温かな灯をともし続けてきた伝統行事だ。心躍るその日に先がけ、和光で催される「春を彩る 創作ひなの会」は、季節を呼ぶ恒例の催しとして毎年好評を博している。今回は、現在活躍中の創作人形作家による作品を中心に、ひな祭りにちなんだ金工、ガラス、絵画作品など合わせて約80点が出品される。
和紙の衣裳に『和漢朗詠集』から採られた文字を散らすなど、古典的なモチーフと子どもの愛らしさが融合するのは春木均夫氏の「雛」だ。木芯に桐塑で肉付けし、草木染めで仕上げた和紙を貼っていく手法を用いている。材料の和紙は、春木氏が特にこだわりをもって選んだ素材だ。「咲き始めた花と若草のイメージで衣裳を決めました。幾度もの染めに耐える和紙は、手すきによる上質のものでなければなりません」と語る。
風情ある衣裳の柄と、すっきりと意志を感じさせる表情が目を引く「小梅雛」は、江戸雛を現代に継承する塚田 進氏の作品。桐塑胡粉布木目込(とうそごふんぬのきめこみ)の技法を使い、年月を経た古代布が用いられている。「見ることで心がやすらぐ人形を心がけています。華やかさの中にある品性を感じていただきたい。大人の方を永く引きつける魅力をもたせるように作りました」と、作品への想いを語っていただいた。
また、水彩の明るい筆致で「桃の花の下で」を描いたのは緒方洪章氏。福々しい雛の上に咲きかかる桃も豊かにふくらみ、人形を中心にしたおだやかな世界が表現されている。緒方氏によると「浅草・仲見世の江戸小物の店でもとめた人形を描いた」とのこと。「作り手が自己主張をしすぎていない控えめな美しさを感じ、それを絵にするため、 作った方と同じように心を込めて制作しました」とメッセージが寄せられている。繊細なタッチから緒方氏の真心が伝わってくるようだ。
ひな人形の魅力的な表情は、出合った人の心を捕らえて離さないことがある。さまざまな分野で活躍する作家たちが「ひな祭り」という古式ゆかしいテーマに取り組むとき、それぞれの内面に潜む優しい想いは、選び抜かれた素材や丁寧な作りに現れるのだろう。今年も和光並木ホールで創意を凝らした作品との出合いが待っている。
![]() | 春木均夫 作 「雛」 |
|---|---|
![]() |
塚田 進 作 「小梅雛」 |
![]() | 緒方洪章 作 「桃の花の下で」 |
出品者(50音順・敬称略)
| 人形 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 青野 洋 | 阿部萌生 | 阿部和唐 | 雨宮弘子 | 荒井慶子 | 池田幸子 |
| 石田珖子 | 伊東建一 | 伊藤三枝 | 井上春子 | 岩瀬なほみ | 岩田典子 |
| 岩田宏子 | 内田 陽 | 荏開津康子 | 大川光子 | 大中祐子 | 大野玲子 |
| 亀田裕延 | 河合幸子 | 河井秀子 | 小谷ハルノ | 小松原雅子 | 紺谷 力 |
| 佐藤 和 | 篠原杉子 | 下平胡徒 | 新家君江 | 髙﨑麻美 | 髙橋みき |
| 玉置光子 | 塚田 進 | 塚田真弘 | 角田智子 | 中村信喬 | 野上俊治 |
| 春木均夫 | 平井美智子 | 福井道子 | 福岡正子 | 藤嶋叡子 | 部谷きよみ |
| 細山ひろ子 | 前田金彌 | 前田 豊 | 松井美智 | 松崎幸一光 | 御子柴明實 |
| 水田民子 | 村岡 茂 | 村岡史彦 | 山越けい子 | ||
| 絵画 | ||
|---|---|---|
| 緒方洪章 | 堀川理万子 | 村上 豊 |
| 漆芸 | ||
| 角井圭子 | 服部峻昇 | |
| 金工 | ||
| 河野三秋 | 西山邦彦 | |
| 陶芸 | ||
| 佐藤 亮 | 滝口和男 | |
| ガラス | ||
| 石田知史 | 石田征希 | 藤平三穂 |
| 染色 | ||
| 上原利丸 | ||

























