暮らしを豊かに彩る「装飾の芸術」
1910年から35年にかけて、一世を風靡したアール・デコ。建築からファッションまで、生活すべてを彩った装飾様式である。「始まりはベルギーのストックレー邸とされています」。解説していただいたのは大石尚さん。「ファッションと文化」をテーマに活躍する世界的なジャーナリストだ。「この邸宅で驚嘆するのは、画家クリムトの装飾画。日本の伝統文様を取り入れ、“線の雅”“色彩の韻律”ともいうべき芸術として表現されています」。そしてパリでも、ポール・ポワレをはじめとするデザイナーたちがファッションの新時代を築いていった。そんな当時の雰囲気は、浮世絵に似た手彩色版画「ポショワール」に生き生きと描かれている。
今回は、大石さんが集めたポショワールに加えて、貴重なアクセサリーも紹介される。植物や東洋調のモチーフ、さらに幾何学的模様など多彩な要素がシンプルに表現されており、素材や色の組み合わせは今見ても新鮮だ。また、模様や色調に日本の影響が感じられるスカーフにも、さまざまな美の形が洗練され、楽しさとなって息づいているようだ。このほか、ニューヨークの劇場を飾った壁画の一部や旧帝国ホテルで使われた煉瓦も展示される。
アール・デコは今にもつながっているという大石さん。その精神を受け継いで創作された絵画や着物、帯なども展示される。「旧来のイメージを覆すような、楽しくて驚きのある空間にしたいと思います」と構想を語る。日本が大きな影響を与えた、その豊饒な美の世界に圧倒されるのもいいだろう。
![]() | シャルル・マルタンによるポショワール(1912年) |
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![]() | 素材の組み合わせが独創的なアクセサリー(1920年代) |
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![]() | 洗練された模様の使い方が楽しいスカーフ(1920年代) |
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大石 尚(おおいし・なお)
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文化服装学院デザイン科卒業。文化出版局入社、特派員としてニューヨーク駐在。 米国「ハーパース・バザー」誌特別記者。その後フリーの服飾評論家として執筆活動に入る。 パリ・コレクション、ニューヨーク・コレクションの日本への紹介では先駆者的な役割を果たす。 1991・2004・06・08年和光ホールにて展覧会開催。 2003年~精華大学(中華人民共和国)にて「ファッション文化論」と題し集中講義を行う。 現在、ファッション振興財団常任理事。 ファッション、テーブルセッティングなど生活にまつわるアート全般の企画制作、執筆など多方面で活躍。 『ニューヨークは愛の騒音』(平凡社)、『パリは夢いろ』(朝日新聞社)、 『アントニオ・ロペス物語』(朝日新聞社)、『一流ブランドの魔力』(光文社)など著書多数。 |

























