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「白磁青釉線刻文花器」 径52.5×高さ22.5cm
継承した技で白磁の新たな可能性に挑む
海を想起させるような青釉の濃淡と、貝殻のごとく光沢をたたえた白磁へのなだらかな階調。繊細な彩釉と律動的なフォルムを融合させた「白磁青釉線刻文花器」は、現代感覚に富む作品である。
井上康徳氏は、白磁の重要無形文化財保持者(人間国宝)・井上萬二氏の長男に生まれ、卓越した轆轤(ろくろ)技を父から継承し、伝統的技法を礎としながらも自分なりの白磁表現を追求してきた。近年、波文や青釉による独自の作風を確立し、評価は年々高まっている。
轆轤を挽くこと、即ち、それは円の造形を意味する。円の造形からいかに新たな造形へと発展させていくかが当面の創作主題だと氏は語る。「受け継いで残すのは技術だけでいい。感覚は新しくしなければいけませんから」。
今回の個展は、康徳氏にとって、作陶30周年という大きな節目を祝う記念展。学生時代から父の個展を手伝い、長年通い慣れた和光ホールで、初めてお披露目をする意義は大きい。本展では、轆轤技を基本としながら造形にこだわり、白磁の美しさを損なわないよう最小限に色釉がほどこされた作品群──波文を多彩に展開させた丸壺をはじめ、花器、鉢、皿、香炉など、清麗な100余点が展覧される。また30周年記念作品として、端正なフォルムの花器、三角形モチーフの皿が出品されることも一興であろう。
6月の父・萬二氏に次いで、満を持して開催する今回の個展。今後、父子競作の楽しみもあるだろうが、康徳氏のこれまでの集大成と、これからの可能性が交錯する、記念展にふさわしい内容となることは間違いない。
◆会期中、会場にて井上康徳氏によるギャラリートークを予定しております。
9月19日(月)14:00~
井上康徳(いのうえ・やすのり)
1958年 | 佐賀県有田町に生まれる | |
1981年 | 成蹊大学工学部卒業後、父・井上萬二に師事、陶芸の道に入る | |
1983年 | 日本伝統工芸展初入選(以後21回入選) | |
1988年 | 西部工芸展 朝日新聞社金賞受賞 | |
1990年 | 日本工芸会正会員となる | |
1995年 | 一水会会員となる | |
1997・2001年 | 一水会会員優賞受賞 | |
1997・2003・ 05・09年 | 日本陶芸展入選 | |
1998年 | 国際交流基金作品買い上げ | |
1999・2001・ 03・05・07年 | 和光・アートサロンにて個展 | |
2000年 | 西部工芸展 正会員賞受賞 | |
2007年 | 西部工芸展 日本工芸会賞受賞、佐賀新聞文化奨励賞受賞 | |
2009年 | 和光並木ホールにて個展 | |
2011年 | 西部伝統工芸展 朝日新聞社大賞受賞 |