展覧会のご案内
伊東久重御所人形展
─慈しみのこころ─
- 会期
- 2011年11月11日(金) ~ 2011年11月19日(土)
10:30~19:00(最終日は17:00まで)
セイコーハウス銀座 6階
セイコーハウス銀座ホール
品格ある御所人形たちに家族への思いを込めて
純粋無垢な純白の肌、弾けんばかりの体に、愛らしさを宿した童の姿。御所人形は、江戸時代より朝廷の慶事に飾られ、公家や大名家に下賜されてきた。明和4(1767)年に天皇より「有職御人形司伊東久重」の名を拝領し、継承してきた当家の十二世伊東久重氏が和光で2年ぶり、10回目の個展を開催する。
今回は、肩車やおんぶしている姿の親子や兄弟など「家族の絆」を主題にした新しい作風の人形が出品される。三頭身の御所人形はバランスをとるのが難しく、二体の組み合わせは初の試みとなる。御所人形で大人を表現するのも初めてのこと。今、新たな試みに挑むのは、人と人との絆や家族に対する強い思いがあったからという。職住一体で、子供の頃は工房が遊び場だった久重氏。仕事が終わると、病弱だった父に代わり、祖父がおんぶや肩車をして市電を見せに連れていってくれた。その温かな背中の思い出が「人形師としての私の原点なのです」と語る。時は移り、現在は久重氏が孫を背負う番となった。
伊東家の御所人形は、30年以上乾燥させた桐を用い、彫り、30回に及ぶ胡粉(ごふん)の塗り、磨きまで、1年がかりで制作する木彫法による。今回は、古い和紙を貼り重ねた一閑張(いっかんばり)法の動物を加えて、正月や節句飾りにふさわしい創意性にあふれた作品が出品される。
さらに木地に胡粉を盛り付け、平安時代の十二単(じゅうにひとえ)の色使いで彩色した「高盛金彩絵(たかもりきんさいえ)」の飾筥など、あわせて60余点の展観となる。
人形作りは、衣裳の手縫い、小道具作りなど、久重氏の家族が心をひとつに支えている。今回は、長男・建一氏の作品も加わり、まさに家族の絆が奏でる、慈しみの心に満ちた会となるだろう。
◆会期中、会場にて伊東久重氏によるギャラリートークを予定しております。11月13日(日) 14時~
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御所人形「肩車」 高さ29cm
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胡粉高盛金彩絵「吉祥羽子板」 高さ57cm