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展覧会のご案内 / 和光ホール

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矢萩春恵展「お・と・こ・ぎ」

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伝統を更新する ─豊かなこと─

  • 2016年1月15日(金) ~ 2016年1月24日(日)
  • 10:30~19:00(最終日は17:00まで)

過去の1000年に学び、未来の1000年を考える

植物の色は、見た目に鮮やかな花や葉ではなく、土の下の根や固い樹皮の下に宿っていることが多いもの。それを導き出すのが染色家の仕事です。黄檗の木を切り、樹皮をむく。外皮を木槌でたたくと、内皮の黄色が現れる。煎じていくと黄色が溶け出してくる。古代の経典の紙をうす黄色に染めた、黄檗色です。
京都で200年続く「染司よしおか」の五代目・吉岡幸雄氏を父に持つ吉岡更紗さん。古今東西の染色に詳しい碩学である父のもと、化学染料以前の技法を学び、染料も定着剤もすべて自然のものを使って染め上げています。大地の力を吸い上げ、陽の光にさらされ、植物の中に宿った色素の粒を、選り分け、ほぐして導き出す。色となった草木のいのちは糸や布に宿り、再現されます。
中川周士氏は、桶屋として160年の歴史を遡る中川木工芸の3代目。木工芸の重要無形文化財保持者である父のもと、指物、刳物、轆轤などの技法を学び、滋賀の地で比良工房を構えています。木はいつ死ぬのか。中川氏は繰り返し考えるそうです。樹木は不思議な生き方をしており、自身の中に死んだ部分を抱いています。活発に生きているのは樹皮の下のごくわずかな層で、中心の心材部分は完全に死んでいる。間をつなぐ辺材部分は、部分的に生きており、徐々に死んで心材に変わる。立ち木としての生命は切られたときに終わりますが、この変化は数十年も続くといいます。
氏の工房では、数百年を生きた木曾檜や高野槙が、静かに呼吸をしながら時を待っています。そこに刃を立て、へぎ板を切り出す。鉋や刀で削って側板を作る。円形にくみ上げ、箍をはめると桶になる。縁が薄く底が厚い、中川氏独特の端正なフォルムには、凛とした針葉樹の姿が再現されています。水を吸えばふくらみ、乾けば縮む桶に、姿を変えた木の息づかいがあります。
今回コラボレーションをした両氏の仕事には、いくつもの共通点があります。一つは自然を分解し、人の技を使ってそれを再構築すること。生きものの命を断ち、それを負ってもの作りをしていること。自然の美しさ、大きさへの敬意と、それを生かし切ろうとする熱が並外れていることも、共通しています。子どもの頃、木の中に入り込んで同化したいと思っていたという中川氏や、中川氏の工房に残された年代物の藍甕に指を入れて、口にて状態を確認する吉岡さんの姿は、人というより、どこか草を食むものに近いのかもしれません。
二人の作り手は、二十一世紀の暮らしの中で、自然の美しさを感じられるものを考えています。手元に置くことで森を感じ、里山の草木を思い出す作品になるはずです。それをもって、次世代で人と自然が縁をつなぐための新しいメソッドを提案しています。過去1000年に学びながら未来の千年を考える二者の化学反応を、ぜひ目撃してください。

◆会期中、会場にて中川周士氏と吉岡更紗さんによるギャラリートークを予定しております。
1月16日(土)14:00~

中川周士 作 杉柾合わせ 大盆

中川周士 作 杉柾合わせ 大盆
(径70×高さ6㎝)

吉岡更紗 作 夾纈ストール

吉岡更紗 作 夾纈ストール
(85×200㎝)

中川周士(なかがわ・しゅうじ)

1968年京都市生まれ。大学卒業と同時に中川木工芸にて父・清司(重要無形文化財保持者)に師事。桶、指物、刳物、轆轤などの技術を学び、2003年滋賀県志賀町(現・大津市)に中川木工芸 比良工房をひらく。厳選された上質の和木(国産天然木)を用いた、伝統技術による美しい白木の作品を制作している。

吉岡更紗(よしおか・さらさ)

アパレルデザイン会社勤務を経て、愛媛県西予市野村町 シルク博物館にて養蚕、座繰り機での製糸、撚糸、染色、製織を学ぶ。2008年生家である「染司よしおか」に戻り、自然に育まれた紫草、紅花、茜、蓼藍、刈安などの植物から、美しい色を引き出し、糸染め、織りを中心に制作を行っている。

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