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学生時代に「かな」に出合い、「書を極めたい」と夢に描き、以来、70余年。「間もなく白寿を迎える歳になりましたが、今もその夢を追っている途上です」と溌剌と話されるのは、書家の崎華祥さんです。
流麗な崎さんの作品の大きな特徴の一つが、滲み。その滲みを美しく表現するために「素紙」を用いています。「素紙は“なま物”ですから、天候や紙の湿り具合、墨の濃さなどで毎回、仕上がりが変わります。ごくたまに『あ、今だ!』と思う時があって。そのときに一気に書きます。欲張ってもうまくいきません。まさに、一期一会です」。
墨の色にも気を配り、違うと感じれば墨を替えたり、絶妙な塩梅になるよう、試みる毎日です。
「恩師・尾上柴舟先生の歌に詠まれていますが、『わがたどるごと人はたどらず』の気持ちで、私なりの世界を作りたいと思っています。『最後に一つ、会心のものが書けたら』という気持ちで続けています」。
真摯に書の道を究められている一方で、今なお、多くのお弟子さんに慕われ、崎さんの周りには笑い声が絶えません。
「皆さんにも、一生を通してやっていく何かを持ってほしいのです。私の場合は書でした。そんな思いで書いてきたものを見ていただけたら」。
屏風、軸装、額装など50点余の展覧で集大成となりますが、同時に今後の制作のスタートともなる展覧会です。ますます進化する崎さんの書の世界観を存分に味わっていただけるはずです。
作品撮影=デジタルリンク
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まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき 「初恋」 |
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雪の富士花の芳野もけふの月 「春想」 |
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万代に年は来き経ふとも梅の花 「梅花」 |
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夕焼けのくれなゐの雲限りなく 二曲屏風「晶子逍遥」より |
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上質な墨や硯、筆を選び、丁寧に擦り、一気に書きあげます。 |
1924年 | 東京都文京区に生まれる |
1944年 | 尾上柴舟に師事。東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)附属高等女学校専攻科国語部卒業。桜蔭学園高等女学校教諭となる |
1960年 | 杉岡華邨に師事 |
1988年 | 第20回日展特選受賞 |
1993年 | 皇后陛下雅子様のお妃教育「書」のご進講役に任命される。第25回日展特選受賞 |
1999年 | 日展審査員就任 |
2005年 | 個展開催(東京・銀座) |
2012年 | 文京区区民栄誉賞受賞。現在、日展会員、読売書法会参事、全日本書道連盟参与、東方書道院最高顧問、全日本書芸文化院名誉顧問、臨池会顧問、桂紅会主宰 |