和光ホールのご案内
蒔絵 室瀬和美
―伝統を創る―
- 会期
- 2022年1月14日(金) ~ 2022年1月23日(日)
10:30~19:00(最終日は17:00まで)
漆黒の漆面の上にさまざまな粒子の金粉を用いて、精緻な文様を描いていく「蒔絵」。
漆芸の代表的な技法の一つであり、その源流は奈良時代に遡ります。その伝統の技を現代に受け継ぐ「蒔絵」の重要無形文化財保持者(人間国宝)、室瀬和美さんによる和光では2回目となる展覧会が開催されます。
室瀬さんは、漆芸作家として活動しながら、正倉院宝物の漆工研究や文化財の修理およびその復元模造制作を手掛けてきました。日本の漆芸技術の歴史が凝縮された数々の名品を見つめ、修復することにより、時代を超えた普遍の美しさのエッセンスを自らの作品にも取り入れてきました。「過去から受け継がれた貴重な素材や高度な技術が現代まで伝えられた奇跡に感謝しつつ、日本の漆の未来のために今できることに挑戦し続けていきたいと思います。100年かけて育った材料は100年以上伝えられるように創るのが日本の心です。使うものを美しく創ることは、漆芸に限らず、工芸の美の根底にあります」。
その言葉の通りに作品は、一作一作が氏の美意識を色濃く反映しています。
今回出品される大作の壁面作品、飾箱、盤、茶器、装身具など、器体を彩る自然や動植物をモチーフとした装飾表現は、伝統と現代性が見事に融合しており、格調高く、典雅であり、そして見えない素地にまで行き届いた心配りが感じられます。
「伝統というものは守ることではなく、新たに創り出すことです」ともおっしゃる室瀬さん。その想いを受け継いだ次代を担う気鋭の七人の作家たちの作品も合わせて出品されます。今展を通して、漆芸の未来に新たな一ページが加えられることとなるでしょう。
お問い合わせ:美術部 (03)3562-2111(代表)
◎1月22日(土)・23日(日)の2日間は、混雑緩和のため入口を西側エレベーターのみとさせていただきます。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
◎室瀬和美による作品の紹介を以下よりご覧いただけます。
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作品全体をナラの木の葉が優雅に覆っています。光の陰陽を箱の内と外で対比的に表現しています。蓋の表面は金地で日なたを、蓋を開けると黒漆をベースに、日陰の世界が広がります。葉の部分は、金塊を鑢でおろしたままの鑢粉(やすりふん)を使い、ドングリの実は、夜光貝と黒蝶貝の厚貝を象嵌で表しています。
室瀬和美作
蒔絵螺鈿方箱「実」(18.1×18.1×高さ8㎝)
(撮影/白井 亮)
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身と懸子(かけご)は、漆黒の中に蒔絵と螺鈿が美しく輝いています。
(撮影/白井 亮)