時を告げるもの

1881年、服部時計店として銀座で創業以来、「時」をつくり、「時」を告げるシンボルたるべき歴史を積み重ねてきた和光。
常に最高の時計を扱うという姿勢はもちろん、1秒1秒、毎分毎時の精確さを追求し、365日継続する覚悟が必要です。
和光が銀座の街に鐘を鳴らす時、いつも永遠に続く「時」という、この大いなる価値に思いを馳せています。

文明開化の音がする!

Photo:Buyenlarge/Getty Images

少年の夢は「みんなのための時計を作りたい」

明治時代の日本において、最先端の輸入時計を扱う時計店は花形。その看板である時計塔は単に人目を引くだけでなく、政府が奨励した欧米化・近代化のシンボルでした。新しい東京名物として人気を博し、当時の東京には30を超える時計塔が存在。目新しくハイカラなデザインや時を知らせながら響きわたる鐘の音は、人々の心を捉えました。
和光の原点、服部時計店の創業者・服部金太郎(1860-1934年)もその一人。少年時代から勤勉な少年だった金太郎が、11歳で丁稚奉公に出た店の近所にあったのが“八官町の大時計”と呼ばれた小林時計店時計塔。雨の日でも修理で商売を続けられ、時間を無駄にしない時計店の様子や東京市民に愛される時計塔を日々見るうち、時計商になろうと志を固めたのです。1894年、銀座4丁目にあった新聞社のビルを買収・改築し、最上階に設置された時計塔。大切な時を刻む、みんなのための時計を作りたいという金太郎少年の願いが実現した大きな一歩。今と同じく東西南北の四方を向いた文字盤を備えた初代時計塔の鐘は、1894年当時毎正時には時打ち、30分には1打鳴り、正確な時を知らせ始めました。

“大切な時”を止めるな!決意の2代目時計塔

大正に入り、初代時計塔のあったビルの老朽化のため新店舗建設の準備に入ります。しかしその矢先に起こったのが関東大震災。建物のみならず顧客から修理のために預かっていた時計などほとんどのものが焼失してしまいましたが、すべて同等の新品と交換し、お客様の信頼を得ました。そして金太郎はすぐに“大切な時”を止めておくわけにはいかないと決意。目覚ましいスピードで復興を進め、新店舗建設も当初より頑丈な設計に見直して再開。さまざまな苦難を乗り越えてついに、新しいビルが1932年に完成しました。
その裏では、時を告げるものの象徴である時計塔のデザインについては難航します。「世界に二つとないものにしたい」という金太郎の思いから何度も練り直され、決定したのはなんと着工から1年後。時計塔の設計担当者は図面を何枚も描き、模型も何度も作り直し……という作業に追われ、寝るときも枕元にスケッチブックを置いていたと後に回想しています。完成した2代目時計塔の文字盤はガラス製。夜間は内部からライトアップし、昼夜を問わず時間を正確に確認できるよう配慮されたこだわりのデザインです。

時を告げる資格とは何だろう

和光 時計塔の鐘の音を聴く

再生する

時を守るのは通常の6倍のメンテナンス

2代目時計塔が完成した1932年から毎日熟練の技術者が見回り、ちょっとした進みや遅れも見逃さずその都度修正。そのため当時から1分のずれもありませんでした。当初ドイツ製の振り子式だった機械部分は、1966年にSEIKO製クオーツ方式に取り換え、以降も技術の向上に合わせより高精度なものを導入しました。また時刻修正は1992年に短波JJYを導入し、2002年にテレフォンJJYに変更。さらに2004年にはGPS電波も導入し、時刻修正機能をより強化しています。
最先端の時刻修正技術が導入された今も、人の手を介する点検への情熱は並々ならぬものがあります。メンテナンスの担当者によると「一般的に設備時計の定期点検は年に1回程度のスパンですが和光では毎月とかなり高い頻度。しかも4月と10月はより細密な点検をするべく、閉店後の21時30分から明け方の5時まで3人体制で行っております」。そして「毎月の点検という万全の体制で故障や障害発生のどんな小さな予兆も見流さず対処しているので、これまで大きなトラブルにつながる障害は一度も起きておりません」という徹底ぶりです。

和光の時計塔は“放送局レベルの設備時計”

「時計塔の時間が少しずれていませんか?」。ある時、銀座の街を歩いていた方からこのようなお問い合わせがありました。時計塔は下から見上げるため、交差点のどの位置に立っているかによってそう見えてしまうことがあるのです。しかし和光の時計塔はいつも正確に「時」を刻んでいます。
なぜなら和光の時計塔はうるう秒にも対応している設備時計だからです。うるう秒とは、地球の自転と原子時計によって決まる時刻の差がプラスマイナス0.9秒というほんの僅かな範囲に入るよう調整するため、数年に1回程度実施されるもの。放送局などを除き一般的な設備時計の場合、うるう秒がリアルタイムで挿入されることは非常に稀です。しかし和光の時計塔の親時計装置は放送局と同レベルの時刻修正機能があるためうるう秒も自動挿入が可能。街行く人からのお問い合わせに対し「1秒足りともずれのない、常に正確な時刻をお知らせしています」、責任をもってそうお返事できるには確固たる理由があるのです。

お話をうかがったのは..

セイコータイムクリエーション株式会社
タイムシステム・FA事業本部
首都圏営業部 サービス課

公共施設で使われる設備時計や放送局用の専門的な時計、スポーツ計時計測機器などの企画・開発から製造・アフターサービスまで総合的に行う。長年に渡り、時計塔のメンテナンスにも従事。

時を告げる者たちのDNA

金太郎の夢が進化した「和光ウオッチスクエア」へ

本館1・2階に新しくオープンした「和光ウオッチスクエア」。金太郎少年の夢から端を発し、お客様の大切な「時」を扱ってきた和光ならではのこだわりは、時を1つ1つ刻んでいく手間、時の流れをも可視化し、お客様に体感していただける空間に進化させたことです。
たとえば1階の時計を陳列するショーケースはその長いカーブがみどころ。ガラスで長いカーブを正確に描くことは非常に難しく、精度を高めることも困難。さらにそのガラスの下に貼られた木は世界中を探して見つけた木を薄くスライスして基材に貼り付けたもの。柱に貼られたタイルも1枚ずつに番号を振り、1つとして同じ向きにならないように細密に配置。これらの気が遠くなるような作業はすべて、人の動きや光などで陰影を複雑化させて時の移ろいを表現したい、ただそのため。ショーケースに並べられるウオッチはもちろん、時を丁寧に積み重ねていく慈しみともいえる手間が目に見えて楽しめるのが「和光ウオッチスクエア」です。

オンラインにはないスペシャルな時間を体感

どれほどオンラインでのお買物が日常になってもそれだけは満たされないこともあります。金太郎の夢にはじまり“みんなの時”を守ってきた和光は「ここだけの時間体験をご提供したい」と考え、フロアをリニューアル。リアルな体験価値を味わっていただくための「グランドセイコーブティックフラッグシップ和光」が、1・2階に誕生しました。本館のシンボルである、1階から続く4本の柱に囲まれた2階フロア中央では、時計のインデックスをモチーフにしたガラスのパーテーションでスペースに独立感をもたせ、ここだけの時間体験を心ゆくまでゆったりと味わってもらう工夫も。グランドセイコーのものづくりの精神や歴史を深く体感できるライブラリーや愛好家と販売員がゆっくりと語らえるラウンジ。さらには限定品などを手に取って選べるリビング、ここならではの特別なサービス、グランドセイコーのビスポークができるカウンターもあります。創業以来、常に瞬間、瞬間のリアルである「時」を扱ってきた和光としてリアルな体験にこだわり、オンライン上にはないスペシャルな時間を過ごしていただけるフロアをご用意しました。

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